深沢幸雄(1924-)は、日本を代表する銅版画の巨匠として、今日ゆるぎない存在となっています。しかし他方では、書、陶芸、ガラス絵の創作にも意欲的に取り組んできました。東京美術学校在学中の1945年3月10日、東京大空襲の際に受けた右膝の打撲がもとで、卒業後、画家・教師として順調にスタートした直後の1951年から6年間、右足をコルセットで固められた不自由な生活を強いられました。1954年頃から、駒井哲郎、浜田知明らの作品に魅せられ、独学で銅版画を始めることとなりました。その後、銅版画制作に傾注した深沢のエネルギーを考える時、誰もが深沢幸雄を銅版画の第一人者として認めるのは当然と思われます。しかし実際には、銅版画の仕事の余技としてとらえられがちな書、陶芸、ガラス絵については、銅版画を始める以前からすでに深く関心を寄せていました。したがってそれらの作品は、永年深沢の胸中であたためられ、熟成されたものが、機会を得て生まれ出たものと言えるでしょう。本展では、銅版画家としてのみならず、多才な深沢幸雄の表現世界を、現在制作に没頭しているガラス絵を中心として、これまで様々な技術の革新を試みてきた銅版画、食生活の友として始めた陶芸、宮沢賢治の詩に魅せられて始めた書など、約115点を一同にご紹介いたします。多様多才な深沢幸雄の表現世界をお楽しみ下さい。
[関連イベント]
■講演会「ガラス絵の魅力」
日時 10月2日(土)14:00-
講師 深沢幸雄(アーティスト)
会場 多目的室
参加無料 当日受付
■ギャラリートーク
当館学芸員による展示ガイド
日程 毎週土曜日(但し、10月2日を除く)
時間 14:00-15:00
参加無料 当日受付