この度「市川保道展-多摩美術大学退職記念-」を開催致します。
市川保道は、1963年より多摩美術大学絵画学科日本画専攻にて、44年間にも及ぶ長期にわたって後進の指導に当たってきましたが、本年3月をもって本学を定年退職することになりました。
今回の展覧会では、初期の作品から新作「幻雪」に至る、明るく透明感のある色彩の人物・風景などの日本画作品に加え、花や虫、果実、林といった自然のありのままの姿を写し出した多数の素描を展示します。自然とともに生きる市川保道の生命の記録とその現実をじっくりとご堪能いただけることと思います。
「70歳、画面に向かう。林檎一つにも宇宙を感じ、花や実に生命を感じる。画面に点を打つ、生命が宿る、つつみ込む大気、揺れ動く形が脳裏に浮かぶ。自然との出会い、月にも星にも太陽にも大地や生き物にも、生と死。
画面はすべてを受け入れる。形となり色となり、刻には無情を感じ、歳月には無常を知る。己の存在を忘れ、画面に遊ぶ。生まれ持った資質、性格。明るく透明で静かな空間、天空に舞う天上の神を夢みて、生命は私の得た記録であり現実である。」
市川保道