この度の展覧会では、2フロアーの展示室を各階毎にテーマを替えて、当館が所蔵する作品を展示いたします。
2階展示室にはいわゆる古美術品を出品いたしますが、中には考古遺物とも言うことができる作品も選びました。作品の選び出しにあたっては古代のエジプト、ギリシア、ローマ文化圏に絞り、地中海を取り巻いて花開いた人間の創造活動を紹介します。また、視野を広げて時代を俯瞰できるよう、隣接地域でもあるペルシアと、東における文明の代表として中国の作例も出品することといたしました。それぞれ高い文明を築いたこれらの地域の差異と交渉、そして継承を、造形を通じて感じていただければと存じます。
また、3階においては、多摩美術大学が1995年に創立60周年記念事業としてスタートさせた「東京国際ミニプリント・トリエンナーレ」の入賞作品を展示いたします。現在まで4回の開催を経たこの公募展では、20cm×25cmという規定がされた作品の中に、作家が内に秘めた「宇宙観」ともいえる世界が凝縮され、見るものを惹きつけてやまない魅力が宿っています。この度の展示は、2010年度に開催される「東京国際ミニプリント・トリエンナーレ」の再始動に伴ったレビューとして位置づけられるものです。
是非皆様のお越しをお待ち申し上げております。
注釈 多摩美術大学美術館では、2009年より階層の呼称を変更しました。本文中にあります「2階、3階展示室」は、2022年現在では「1階、2階展示室」に相当します。
