旧東欧諸国中、独自に美術の深化をみせ世界に影響を与えてきた国家、ポーランド。なかでもポスターと版画は1950年代以降黄金期を迎え、現在も権威ある展覧会が開催されています。またタマビもポスターデザインで版画の時代を切り拓いてきました。この度、ポーランドのカトヴィッツ芸術アカデミーとタマビがジョイント。ポスターと版画による展示で「ふたつ」のアート空間をつくります。
このたび「多摩美術大学、ポーランド・カトヴィツェ芸術アカデミー交流展」を開催いたします。ポーランドは古来より中央ヨーロッパにおいて、欧州内の歴史的な軋轢や勢力分布に翻弄されながらも、独自な文化の発展と多くのすぐれた芸術家や文化人を輩出してきました。戦禍により荒廃した第二次世界大戦後の復興期には、特に版画やポスターといったグラフィックアートやデザインについて、広く世界にその存在を注目されるようになりました。現在に至るまで優れた版画やポスターデザインについての国際展も定期的に開催されています。そうしたポーランドの芸術大学の中でも版画とグラフィックデザインにおいて活発な教育と活動に定評があり、また新しい芸術表現にも積極的に取り組んでいるのがカトヴィツェ芸術アカデミーです。かつて多摩美術大学美術館では竹尾ポスターコレクションによる「ポーランド・イラストレーションポスターの巨匠・1&2」を開催し、1995年に開催した「第1回東京国際ミニプリント・トリエンナーレ」のグランプリはポーランドからの作品でした。また、ポーランドでの版画やポスターについての国際コンクールでは多摩美術大学出身の受賞者も多く輩出しています。
この展覧会では、カトヴィツェ芸術アカデミーと多摩美術大学の教員、卒業生による版画とポスター作品約100点を出品し、共に版画表現、ポスターデザインについて定評のある芸術系大学による興味深い競演であり、ポーランドと日本の文化交流の一端を担う作品展示となるでしょう。