今年、四国霊場は開創1200年を迎えました。本展はそれを記念して、特に空海ゆかりの地である高知県を中心とした仏教美術、遍路資料を展観いたします。NHK「にっぽん心の仏像100選」に選ばれた大豊町定福寺笑い地蔵や須崎市上分大日如来坐像を含む、平安から鎌倉時代にかけての仏像・仏画約五十点が一堂に会します。さらに徳島・平等寺から、かつて病を負った遍路が用いた実物の「箱車」なども特別出品されます。今も四国を巡る遍路たちのまさに「祈りの原風景」に触れてみてください。
讃岐(香川県)に生まれた空海は、42歳のときに故郷・四国を巡錫したと伝えられます。そして今年、四国遍路は開創1200年を迎えました。空海がかつてたどったと伝えられる四国の道は、「遍路道」として多くの人々を迎えてきました。
空海は、若き日に土佐の室戸岬において「虚空蔵菩薩求聞持法(こくうぞうぼさつぐもんじほう)」を修して、「明星来影」の奇瑞を感得したと『三教指帰』の中で述べています。本展では、特に空海ゆかりの地である土佐(高知県)の「遍路」、そして「祈りの道」をテーマとして、その原風景を体験していただきたく、古くは考古学の時代から、現代にいたる遍路資料や土佐の仏像、仏画などを一堂に集めました。
古記録に「四国辺地(しこくのへち)」と呼ばれたように、四国を周回する海辺の道、中でも太平洋に面して東西に長く開かれた土佐の厳しい風土性は、いつしか「修行の道場」ともいわれるようになりました。
本展では大豊町定福寺六地蔵(笑い地蔵像)、須崎市・笹野大日堂大日如来坐像(いずれもNHKにっぽん心の仏像100選)をはじめとして、土佐を代表する仏像・仏画・考古遺物130点あまりが出陳されます。四国の遍路道はまさに《祈りの道》です。土佐に残された本物の文化遺産と対話するひとときを、お過ごしいただければと思います。
[関連イベント]
■講演会「祈りの道へ I・II」
I部「土佐、祈りの原風景」
講師 青木 淳(多摩美術大学・本展監修)
II部「霊場住職と語る《四国遍路》」
講師 坂井 智宏氏(第26番霊場 金剛頂寺 住職・真言宗豊山派 宗務総長)
聞き手 青木 淳
日程 11月22日(土)
時間 14:00-16:00
■講演会「特別講座 土佐の年輪を読む」 ★追加講演!
講師 光谷 拓実氏(元、奈良文化財研究所)
日程 11月27日(木)
時間 17:00-
■講演会「土佐、古仏との対話」
講師 青木 淳
日程 2014年12月7日(日)
時間 14:00-16:00
■講演会「年輪年代測定法の現在-定福寺六地蔵菩薩像の時代-」
鼎談「定福寺六地蔵菩薩像の時代」 ★追加講演!
講師 講演会:光谷 拓実氏
鼎談:光谷 拓実氏・釣井 龍宏氏(定福寺住職)・青木 淳
日程 12月10日(水)
時間 18:00-19:30頃
■講演会「昭和の遍路と平成の遍路」
講師 星野 英紀氏(大正大学元学長・大正大学名誉教授)
日程 2014年12月14日(日)
時間 14:00-16:00
■講演会「発掘へんろ -考古学から見えてきた高知の特色-」
講師 廣田 佳久氏(高知県教育委員会 文化財課 専門企画員〈文化財担当〉)
日程 12月21日(日)
時間 14:00-16:00
■講演会「野田廃寺出土せん仏の周辺」
講師 淵田雄(多摩美術大学美術館学芸員)
日程 12月23日(火・祝)
時間 14:00-16:00
■講演会「空海の時代 -その歴史と造形-」
講師 大橋一章氏(早稲田大学名誉教授)
日程 1月11日(日)
時間 14:00-16:00
■講演会「土佐の鎌倉時代-祈りの道へ展で分かったこと-」 ★追加講演!
講師 青木淳
日程 1月17日(土)
時間 17:45-18:30
※各回会場:多目的室
※各回定員:先着100名(参加無料)
■学芸員とのギャラリーツアー
日程 11月26日(水)、12月10日(水)、1月14日(水)
時間 13:00-14:00
会場 展示室
参加無料