画家の富山妙子氏が50年前に現地で入手した、キューバ革命時に制作されたプロパガンダ木版画作品集(約40点)と、革命後のキューバで制作された映像祭のオリジナルポスター(約20点)を当時の資料とあわせて展示し、アートと社会、時代の表現を探ります。
もはや伝説的な民衆蜂起と武装解放闘争による1959年のキューバ革命は、50年の歳月を経て様々な回顧と検証が行われています。東西冷戦構造に組み込まれ翻弄されたとはいえ、革命の動機と原動力は、19世紀までの欧米列強による植民地主義、巨大資本や軍事政権による利権独占などの新植民地主義による圧政から国民を解放することでした。
1960年のハバナ宣言は、中南米への政治経済的圧力という反共政策への批判と抵抗をアピールし、民衆を苦しめる旧体制や大国主義による経済格差や貧困、人種差別、人権無視からの解放と、帝国主義やナチズムといった歴史的悲劇からの克服と決別を目指しました。その革命精神を示す視覚表現として、キューバ作家芸術家連盟(UNEAC)の美術家12人による40点の木版画集も制作されました。今回は、南北米大陸取材旅行中の美術家の富山妙子氏(1921‐)が、1962年にキューバ危機直前のハバナで、詩人ニコラス・ギジェンとの知己によりUNEACから寄贈された版画集を展示します。
また竹尾ポスターコレクションの中から革命後の1960~70年代のハバナ映画祭(新ラテンアメリカ国際映画祭)の多彩で斬新なデザインのポスター約30点も展示します。
50年目を迎えたハバナ宣言から、当時と現在の時代性や社会状況について、社会性の強いアートとデザインによって振り返ります。
[同時開催]
ジョセフ・アルバース-フォーミュレーション・アーティキュレーション-
[関連イベント]
■記念トーク
「50年前のハバナ宣言から紐解くラテンアメリカの社会と芸術の状況」
講師 富山妙子(美術家)
太田昌国(編集者・著述業)
日程 4月24日(土)
時間 14:00-16:30
会場 多目的室
定員 100名
参加無料