美術家であり美術教育者でもあったジョセフ・アルバースの業績と造形思考を、版画作品「Formulation:Articulation」によって紹介します。
ジョセフ・アルバース(1888-1976)は、近代デザイン運動における金字塔といえるドイツの美術学校バウハウス(1919-1933)で、学生と教師の両方を経験した重要な芸術家の一人です。バウハウス崩壊後、アルバースは米国に移住し、ブラック・マウンテン・カレッジやハーバード大学、イエール大学等での美術教育への尽力と、色彩理論や抽象理論の展開による作品制作に努めました。1940年代以降、色彩の光学的効果を、自らの絵画制作や理 論において発展させ、現代美術の重要なアーティストとして、ポップアートの先駆的存在ともいわれます。
晩年のアルバースは、造形思考における表象を体系化した版画作品集の制作に没頭します。1972年に制作された127点のシルクスクリーン作品集「Formulation:Articulation」は、彼の理論と作品変遷を統合・集積させた作品として、多くの美術家やデザイナーに影響を与えました。
今回は、美術家であり美術教育者でもあったジョセフ・アルバースの業績と造形思考を、この版画作品によって紹介していきます。
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