当館所蔵の白石顕二アフリカコレクションより、タンザニアを代表する芸術家ジョージ・リランガ(1943-2005)の作品を展示。森羅万象と人間をつなぐ「精霊=シェターニ」がモチーフ。リランガに影響を与えたギニア出身の農業技術者・革命家アミルカル・カブラルの思想とともに紹介。
このたび多摩美術大学美術館では「多摩美術大学美術館白石顕二アフリカコレクション エターナル・アフリカ*森と都市と革命 ーアミルカル・カブラルの革命思想とジョージ・リランガの芸術ー」展を開催いたします。
日本のアフリカ文化研究の第一人者であった故白石顕二(1946-2005)の尽力で蒐集された「多摩美術大学美術館白石顕二アフリカコレクション」には、アフリカの現代史をひも解く、変革と解放の理念や思想と、アフリカ文化への影響と創造について、どう関係してくるかを示す貴重な資料や作品が多く含まれています。
人類の故郷といわれるアフリカの大地と文化が、その歴史上の苦難と搾取を乗り越え、現代社会へと至る改革と創造がなされてきたことを示す二人のキーパーソンとして、アミルカル・カブラル(1924-1973)とジョージ・リランガ(1943-2005)に着目し、彼らの業績と試みが、アフリカ社会と文化に影響を与えてきたかを多くの資料やヴィジュアル、作品等で紹介します。
アフリカにおける植民地支配からの解放と革命の象徴であるギニアビザウのアミルカル・カブラルとアフリカの天才的で生命感にあふれた芸術表現の展開と未来を予感させたタンザニアのジョージ・リランガという決して生前には交わることがなかった二つのアフリカシーンの双方に着目し、探求した白石顕二によるアフリカから日本と世界へと向けられた眼差しこそが、永遠なるアフリカへの情熱と理解をもたらしてくれます。この邂逅に呼応する、当時の西アフリカのギニアビザウと東アフリカモザンビークを体現取材した、写真家の小川忠博の特別協力による写真展示を併せて行います。この奇跡的なアフリカ文化の受容と昇華は、白石顕二の偉大なる功績として、より多くのことをわれわれに示唆してくれることでしょう。
多摩美術大学美術館では2006年に「ジョージ・リランガ ーこの世は精霊たちとともにー」展、2011年に「アフリカの魂 リンクするアフリカルチャー」展など白石顕二のコレクションによる多くのアフリカ美術に関する展覧会を開催してきましたが、新たな視点からアフリカと世界を捉えなおす機会となることを願っています。
関連イベント
刊行物
エターナル・アフリカ*森と都市と革命 アミルカル・カブラルの革命思想とジョージ・リランガの芸術
- 多摩美術大学美術館
- 2019
- 120ページ
- 縦高 260mm 横幅 210mm 厚み 7mm
- 一般 1,500円 (学生 1,000円)